お正月になれば親戚一同集まっておせちを囲むというのが、日本人のお正月の過ごし方でしたが、時代とともにだんだんとこうした光景も減ってきているようです。
またお正月の定番であるおせち料理も趣向を凝らしたものや、豪華なものも増えてきて、家では作らずにお取り寄せする人もかなり多くなっていますが、実はこのおせち料理には様々なルールがあります。
おせち料理の詰め方、食べ方、何で食べるか、なども決まり事があるのです。ここではそんなおせち料理について紹介していきます。
おせち料理の詰め方
おせち料理は、めでたさを重ねるという意味でお重に詰めていきます。おせち料理に使われる食材はすべて縁起ものであり、それぞれに意味があります。
最初のには色鮮やかで甘い料理を詰めていきます。例えば数の子や黒豆はここに含まれ、数の子には子孫繁栄、黒豆には一年中まめに働き健康であるという願いが込められています。
次の段には海の幸が入ります。これは長持ちするものであり、例えば鯛やエビはここに含まれます。鯛にはめでたい、エビには長寿の願いが込められています。
その次の段には煮しめ、そして最後の段には酢の物が含まれます。どれも長持ちするもの、日持ちするものが選ばれており、三ヶ日の間、料理をすることなく楽しめるようになっています。
また、おせち料理に使われる具材にはそれぞれちゃんと意味が込められています。詳しくはおせち料理の具材の意味の記事がとても参考になりますので、興味のある方はぜひチェックしてみて下さい。
おせち料理の食べ方
おせち料理は好きなものから食べていく人も多いのではないでしょうか。実は、おせち料理には食べる順番があります。
おせち料理は「祝い肴三種」と呼ばれる数の子、田作り、黒豆から食べ始めるのがマナーです。最初に数の子、次に田作り、そして黒豆の順番で食べるのがマナーであり、たとえどれだけ好きであったとしても、栗きんとんや鯛などから手を出すべきではありません。
ただし、「祝い肴三種」は地域によっても異なります。関東圏では数の子、田作り、黒豆ですが、京都をはじめとする関西では、黒豆、数の子、たたきごぼうとすることが多く、食べ始める順番も異なります。これらは「三つ肴」「三種肴」などと呼ばれることもあります。
おせち料理を食べるお箸
おせち料理を食べる時、お箸も普段のものではなくそれ用のものを使います。おせち料理を食べるときには、神様が宿る木と言われる柳で作られたお箸、いわゆる祝い箸を使います。
祝い箸は私たちが普段使っているお箸と違い、両側が細くなっています。私たちが使っているお箸は食事をつかの方だけが細くなっていますが、祝い箸は両方とも同じ形になっているのが特徴です。これは、片方は私たち人間が使う側、もう片方は年神様が使うかは、という意味を持ちます。年神様が使う側ですから、決して反対側を取り箸にしてはいけません。
祝い箸を使う場合は、家長が祝い箸の袋に家族の名前をそれぞれ書いておきます。もしも取り箸を使う場合は、その袋に「海の幸、山の幸」という意味を込め、「海山」と書いておきましょう。もしも来客があった場合は「新春」「初春」などと書きます。
祝い箸は割り箸のように毎回使い捨てにするものではなく、三日間同じものを使います。捨てずに洗いながら使いましょう。
お屠蘇について
おせち料理を食べる前にお屠蘇をいただく人もいるのではないでしょうか。これは屠蘇散を日本酒やみりんに漬け込んだものですので、非常に独特な風味があります。
この習慣は平安時代から伝わったと考えられており、もともとは邪気を払う意味がありました。若さを分け合うという意味があるため、お屠蘇は若い人から飲んでいきます。一般的にこのようなものは年功序列と思われがちですが、お屠蘇は若い人、一番年齢の低い人から飲んでいきましょう。
変化するおせち料理
しかし、おせち料理は地域による違いも多いと言われています。「祝い肴三種」のように関東と関西で異なるものもありますし、その地域独特の食べ方もあります。
お屠蘇も同様で、地域によって食べ方が異なりますので、もしも全然違う地域にお嫁入りをしたなどという場合はその地域の習慣を確認しておいた方が良いでしょう。
さらに、最近はおせち料理の具材にも変化が見られます。子供が食べないなどという理由で伝統的な食材ではなく、子供が食べやすい食材を加えることも珍しくありません。
また、近年はおせち料理を作らず、お店で購入する人も増えていますし、そもそもおせち料理を食べない人も増えていると言われています。
その背景には、最近では年末年始も飲食店などがやっており、三ヶ日だからといって外食できないわけではない、お店がやっているから食材を買って料理ができる、わざわざ三日間分の食事を作っておく必要がない、といった変化があります。
自家製のおせち料理もいいですが、たまにはこうしたお取り寄せのおせち料理を利用してみるのもいいかもしれません。